2025/05/23
皆さんこんにちは。 皆さんは「リカバリー」という概念を耳にしたことはありますか? 直訳すると「復旧」とか「治す」「取り戻す」という意味があります。 精神科領域においても特にここ10年20年でよく耳にする言葉となっています。 今回はそんな「リカバリー」についてのお話です。 米国の政府委員会によると、リカバリーとは、「人々が生活や仕事、学ぶこと、そして地域社会に参加できるようになる過程であり、ある個人にとってはリカバリーとは障害があっても充実し生産的な生活を送ることができる能力であり、他の個人にとっては症状の減少や緩和である」と定義されます。すなわち、リカバリーとは精神疾患の当事者あるいは精神保健医療福祉サービスを利用する当事者個人のものであり、当事者自身が歩むものです。 「リカバリー」という言葉自体は非常に多くの意味を持ちます。近年においては、上記で定義したリカバリーを「パーソナル・リカバリー」と呼ぶことが一般的です。パーソナル・リカバリーは複合的な概念です。例えば、パーソナル・リカバリーに関する調査結果をまとめた英国の研究は、①他者とのつながり、②将来への希望と楽観、③アイデンティティ・自分らしさ、④生活の意義・人生の意味、⑤エンパワメントをパーソナル・リカバリーの主要な構成要素として提案しています。最近では、現在困難に直面している当事者は、肯定的側面だけを強調することに違和感を持つ可能性があるという議論から、⑥生活のしづらさや生きづらさへの対応という要素もあると提案されています。他方、パーソナル・リカバリーは、医療や福祉サービスから単純に卒業したという意味ではないことも度々指摘されています。また、最近では、スピリチュアリティ(精神的活動)や主体性、ソーシャルサポートがパーソナル・リカバリーを促進するものとして認識されています。またスティグマや精神保健福祉サービスと薬物治療が上手くいかなかった経験がパーソナル・リカバリーを阻害するものとして指摘されています。(国立精神・神経医療研究センターのホームページより抜粋) 上記で紹介したパーソナルリカバリーの概念はデイケアの機能そのものだと私は感じています。自分らしく過ごす、仲間を作る、自分の希望は何なのだろうか、将来に向けてどんなことをしていくのか、そしてそれらを様々な情報を通して自分自身で選択していく。この要素がデイケアには詰まっている気がしています。 共に過ごし、学び、経験し、考えていく、そんな生活を送っていけたらと思っております。 リカバリーについて興味がある方は是非一度デイケアを見に来てください。一緒に話しましょう!